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かぶり深さの測定原理 コンクリート内部探査用電磁波レーダの原理 - 比誘電率について

かぶり深さの測定原理

 コンクリート内部探査用電磁波レーダ(以下、装置という)は、下図(測定原理図)に示すようにコンクリート内に送信アンテナから電磁波を輻射し、コンクリート内の鉄筋や非金属管、空洞等から反射して戻ってきた反射波を受信アンテナで受信する装置である。

 装置から鉄筋等の物標まで距離は、下図(反射波形例)に示す送信から受信までの時間差Tに、媒質中の電磁波の速度Vを掛けて求めることができる。また、この装置の車輪には、「距離計(エンコーダ)」が組み込まれており、測定面上における起点(スタート位置)から反射物直上までの水平距離を測定することができる。

測定原理図

電磁波レーダ 測定原理図

反射波形例

電磁波レーダ 反射波形例

 電磁波レーダで測定するかぶり深さ(深度)D(m)とは、送信アンテナから輻射された電磁波が輻射されて鉄筋等に反射して受信アンテナで受信されるまでの時間差T(s)の1/2に、透過した媒質中の速度V(m/s)掛けたものであり、(1)式で表される。なお時間差Tは、輻射から受信までの往復時間であることから、かぶり深さを求める際の片道時間は、装置で測定された時間差Tの1/2となる。

電磁波レーダ (1)式

 また電磁波の速度は、空気中では3×108(m/s)であるが、コンクリートなどの空気以外の媒質を進む場合は、その媒質固有の比誘電率εr(イプシロン)に影響される。そのため電磁波の速度は(2)式で表される。

電磁波レーダ 比誘電率

 よって(1)、(2)式より、電磁波レーダで測定するコンクリート内の鉄筋のかぶり深さ(深度)D(m)は、(3)式で表される。

電磁波レーダ 比誘電率

比誘電率について

 なお媒質固有の比誘電率εrは、下記表に示す通り媒質によって大きく異なるため、正確な深度を求めるためには、対象とする媒質の比誘電率を正確に求めなければならない。一般的なコンクリートの比誘電率は6~8であり、乾燥していると低く、打設後間もない時期は含水率が高く、比誘電率も高い。

主な媒体の比誘電率一覧

材質 比誘電率
真空 1
空気 1
発泡スチロール 1
雪(かたまり) 1.4
ポリスチレン 2.4~2.7
清水氷 4
海水氷 6
御影石(乾燥) 5
御影石(湿潤) 7
材質 比誘電率
石灰岩(乾燥) 7
石灰岩(湿潤) 8
頁岩(湿潤) 7
砂岩(湿潤) 6
砂(乾燥) 3~6
砂(湿潤) 10~25
土(乾燥) 2~6
土(湿潤) 10~30
関東ローム(乾燥) 2~5
材質 比誘電率
関東ローム(湿潤) 10~40
砕石 5~9
永久凍土 6~13
コンクリート(乾燥) 4~6
コンクリート(標準) 6~8
コンクリート(湿潤) 8~20
アスコン 4~6
清水・海水 81
導体(金属など)